医師に不信感を抱いた患者が治療に納得するのは難しい
しかし、Kさんにはまた疑問が残りました。G病院の担当医の答え方がいかにも簡単で、初めからS医師を支持するような態度だったと感じたというのです。
「セカンドオピニオンで相談する医師は、自分で探すべきだった。きっとG病院の担当医はS医師と知り合いで、医師同士でうまくやっているのではないか?」
私は、治療に問題がなかったとしても、いったん不信感を抱いてしまったKさんが心から納得するのはなかなか難しいだろうと思いました。
その後、Kさんは新しい薬の治療を受けながらも、S医師を心からは信頼できていないようでした。私はさらに別の病院でのセカンドオピニオンを受ける手もあることを話しましたが、Kさんはそのまま別の病院には行かずに治療を受けました。結局、3回目の治療後のCT検査で、肺転移と腹腔リンパ節は小さくなっていて、KさんもS医師もホッとしたということです。
まれなことですが、予想に反して病気が悪い方へ悪い方へと進む場合もあります。患者さんは「たとえ十分に納得できなくても、結果よければおおかたよし」ということもあるでしょう。それとは逆に、病状が予想外に悪化した時に患者さんが納得できるかどうかは、なかなか難しいということを実感しました。