著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

かつて温熱療法の臨床試験を行ったところがん患者の生存期間は有意に長かったが

公開日: 更新日:

 寒い日が続く中、温かいお話をしましょう。

 がんは正常細胞よりも熱に弱い――。このことは昔から知られていました。がん細胞は42度以上、43度になると壊れていきます。

 以前、私たちはこの性質を利用して臨床試験を行ったことがあります。なかなか治療効果が得られ難い進行胆のうがんに対して、「温熱・化学・放射線の3者併用」と「化学・放射線の2者併用」とを比較しました(無作為化比較試験ではありません)。実際には、胆のうの部位にサーモトロンRF8という機械を外部から当て、病巣部にはセンサー針を挿入して42~43度の40分加温を確認し、これを週1回、放射線治療の直後に化学療法点滴と同時に行いました。その結果、3者併用群の平均生存月数は9・0±6・4で、2者併用群の5・5±4・4より有意に長かった(p<0・01)のです。

 しかし、時間がかかって患者さんの負担が増えること、そして放射線をより有効に当てられる強度変調放射線治療などの装置が開発されたことなどから、現在は私たちのところでは温熱療法は行っていません。全身の温熱療法は、体の深部まで温めるため、全身麻酔などで実施されることから患者さんの負担になるなどの問題点があり、いまは一部の施設でのみ行われているようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  2. 2

    「誤審疑惑黒星」の翔猿 大関に完勝でも晴れない審判へのモヤモヤ《昨日悔しい思いをしたので…》

  3. 3

    エースの留年が影響か?昨夏王者・慶応まさかの県大会16強敗退…文武両道に特別扱い一切なし

  4. 4

    「負けた」はずの琴桜が「勝った」ウラ事情…疑惑の軍配が大炎上《翔猿がかわいそう》

  5. 5

    日本ハム新庄監督は続投する?しない? 目下2位と大健闘でも決まらない複雑事情

  1. 6

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  2. 7

    SMAPファン歓喜!デビュー記念のラジオ番組で思い出す「SMAP×SMAP」“伝説の5人旅”と再結成の実現度

  3. 8

    自民党は気に入らないんだよ。でも小泉進次郎はクソ手強いと思うわけ。

  4. 9

    五輪ニッポン「破産」するスポーツ団体が続出か…JOCは早くも助成金の大幅減額通達

  5. 10

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況