著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

河村隆一さんは手術で復帰 肺腺がんの切除エリアと呼吸機能

公開日: 更新日:

 腫瘍の大きさによっては肺の全摘ではなく、より小さな切除で済む肺葉切除が適応になることがあります。全摘や肺葉切除だと、病変はしっかり切除できても、呼吸機能の低下が問題でした。

 その問題点をクリアする切除法が、区域の根本まで切除する区域切除です。

 早期の肺腺がんは腫瘍が小さく、2~3センチ以下なら区域切除の適応になる可能性があります。

 より切除エリアが小さなものが楔状切除。肺の端のみを切除して根本は残す方法です。

 切除するエリアが小さいといっても、手術が簡単というわけではなく、その区域につながる血管のみを選んで切除する必要があり、一つのミスで大きく肺機能を損なう恐れも。熟練した技術が欠かせません。手術エリアのチェックには、CTやPET/CTも併せて厳密に行います。

 手術後の呼吸機能は、手術前に比べて肺葉切除が大体80%、区域切除が大体90%、楔状切除が大体95%です。それほど差がないように思われますが、肺機能が50%になるとほぼ寝たきりに近いといわれますから、8割と9割の違いは大きい。坂道や階段、重いカバンを持って歩くなど負荷が強い時に、呼吸機能のちょっとした差が出てきます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…