「延命治療拒否」の遺言があると病院の対応が違ってくる
遺産相続で、残された家族がトラブルを起こさないように「遺言状」を書き残す。
高齢化社会である。遺書の書き方に強い関心が持たれてきているが、看護師にして僧侶、臨床宗教師の資格も持つ玉置妙憂さんが言う。
「遺産相続に関する遺書も大切でしょう。でも、自分の終末治療についても、遺言書として書き残しておくことも、意外と重要なのです」
「終末治療の遺言」がなぜ重要なのか。玉置さんは自らの体験を踏まえてこう口を開く。
7年前、最愛の主人をがんで亡くした。「大腸がん」の手術から5年後、がんが再発し、「すい臓がん」「胆管がん」に転移。「余命3年」と告げられた時、ご主人は一切の治療を拒否したという。
「医薬品、点滴も断ったのです。理由は、もし入院したら、“残された私の仕事(カメラマンとしての作品整理)が出来なくなる”というものでした。仕事を完成させるために、余命のすべてをかけたのです」
玉置さんは、ご主人の強い希望をかなえてあげたいと。心を鬼にして病院の治療を拒否する。