「延命治療拒否」の遺言があると病院の対応が違ってくる
問題は親族だった。
「妻が看護師なのに!」と批判が巻き起こり、玉置さんは窮地に立たされてしまう。
「でも、主人の意思を尊重したい。意思を貫き、人生の終末を迎えることもいいのかなと思いました」
説得の材料として遺言状があったらどうだったろうか。親族や病院に、主人が残していた遺言状を見せ、「本人の意思でしたから」と説明したら、説得にも重みが増したのではという。
「私は看護師です。終末の治療で、延命治療による胃ろうなど、本人が拒否し、その後意識不明になっても、家族の中の1人でも同意したら、病院や家族は治療を継続しなければなりません」
しかし生前、「延命治療拒否」の遺言があると、病院の対応が大きく違ってくる。渋々ながら、家族も同意するかも知れない。
ただし、玉置さんはこんな経験も持つ。
生前、玉置さんに「もう延命治療はしないでくださいね」と話していたおばあちゃんが、病床で寝たきりになった。もはや意識もなく、心肺が動いているだけである。