75歳以上は20%消失 Y染色体は加齢とともに消えていく
加齢に伴って、血液細胞(白血球やリンパ球)のY染色体が徐々になくなっていくことが知られています。これを「Y染色体喪失(消失)」といいます。
もちろん男性特有の現象です。Y染色体は男性だけのものですから。
われわれは約37兆個の細胞でできているのですが、赤血球などを除く大半の細胞は、親からもらった染色体を1セット(46本)ずつ持っています。白血球やリンパ球も同じで、男性ではそのうちの1本がY染色体というわけです。ところがそれが、年齢とともに消えていくのです。
文献によれば、75歳以上の人では全血液細胞の約20%でY染色体が失われています。65~74歳でも5~10%でY染色体が消えているといいます。つまり、定年を迎え、前期高齢者の仲間入りをする頃から次第にY染色体がなくなっていくのです。性染色体の組み合わせでいえば、男はX型となって、女(XX型)に近づいていくことになります。男性の中性化といっていいでしょう。
実はこの組み合わせ、昆虫の世界では結構見つかっています。たとえばミツバチは、オスがX型で、メスがXX型です。Yに相当する染色体は最初からありません。