著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

緩和ケアには延命効果 病棟の順番待ちを諦めてはいけない

公開日: 更新日:

●患者の15%以上が在宅や診療所に退院する。

 厚労省としては、最初の基準設定によって待ち時間を短くして回転率をよくし、順番待ちの解消を狙ったのでしょうが、実際は違います。なるべく入院希望の意思表示を出すのを遅らせたり、保留させたりした上で、できるだけ退院してもらうようにする施設が少なくないのです。

 なぜか。そうやって2つの条件をクリアすれば同じ人に同じ治療をしても、より高い診療報酬を請求することができますから。これが、順番待ちの問題に影響していると思います。今の基準は問題でしょう。

 転移のある肺がん患者151人を対象に、抗がん剤治療を行うグループ74人と抗がん剤治療に加えて緩和ケアグループに分けて、症状や生存期間を比較。すると、緩和ケアグループは、緩和なしグループに比べてうつ症状が有意に少ないばかりか、生存期間が3カ月上回っていたのです。

 緩和グループは、治療開始から3週間以内に緩和ケアチームが患者に面談。その後は月に1回以上、痛みの治療や精神的なケアを行っています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」