漢方は複数の成分を混ぜ合わせることで初めて効果が表れる
保険診療において、薬は処方できる病気や症状が決まっています。これは漢方でも同様ですが、処方できる病気や症状が西洋薬とは異なっている――つまり、保険診療で漢方だけが処方できる病気や症状があるということを前回お話ししました。西洋薬と漢方には、保険診療上で大きな違いがあるということです。
西洋薬と漢方の違いは他にもあります。原料(成分)に関しては、漢方は天然物由来で西洋薬は化学合成品も多く使われていますが、今回は「成分の種類」についてお話しします。
一言でいえば、漢方は複数の成分が合わさって効果を発揮し、西洋薬は単一の成分で効果を発揮しています。これは漢方の特徴のひとつです。漢方は、複数の生薬成分の配合剤ですが、この「配合剤である」ということが重要で、仮にそれぞれ単一の成分(生薬)だけを取り出して飲んでも、効かないか、効き目が非常に弱いことが明らかになっています。
これは、「ポリファーマシー」が問題視されている西洋薬とは大きく異なるポイントといえます。ポリファーマシーとは、「複数の薬を併用すること」=「多剤併用」を指します。6剤以上の併用で副作用のリスクが高くなるため、できる限り種類を減らす努力をすることが重要とされています。