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小堀鷗一郎医師

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

貧困高齢者を苦しめる厚労省ルール 訪問診療医が実感した「新型コロナ」の教訓<上>

公開日: 更新日:

「今回のコロナで“お上”から『3月まで訪問診療が月1回だった患者は、電話診療で在宅時医学総合管理料(診療報酬)を取ることは認めない。3月まで月2回の訪問診療をしていた患者についてのみ、4月は1回の自宅訪問と1回の電話診療でも同じ管理料を取ることができる』と“お達し”が出たんです」

 厚生労働省のルールでは、月2回以上の定期的な訪問を標準としており、特例として電話診療に置き換える場合も、この基準をクリアした患者についてのみ認めると、改めて通達してきたのだ。

 だが、小堀さんのチームは、コロナが蔓延する以前から厚労省の指針に反して、月1回の訪問診療というケースが多かった。

 在宅医療は病院よりも安価といわれるが、月2回の訪問診療を受ければ、患者の自己負担額も2倍近くになり、月額9000円ほどに膨れ上がる。生活の格差は、みんなが想像しているよりも大きく、誰もが簡単に払える金額ではない。

「家具や調度品、真っ黒になる靴下を見れば、ギリギリで生活していることが分かります。だからウチではコロナが流行する前から、患者に金銭的な負担がかからないようにしていたんです」

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