貧困高齢者を苦しめる厚労省ルール 訪問診療医が実感した「新型コロナ」の教訓<上>
患者の状態が安定していれば、熱や血圧を測って聴診するなど様子を見るだけだ。そのために月に2回も訪問して9000円を出費させるのは忍びないと思ったという。
その結果、電話診療については、訪問診療の7分の1程度となる外来の再診料の診療報酬で応じることになった。それでも24時間365日、患者に対応できる体制は崩さなかった。
「患者のことを考えた診療をしていました。それを否定する仕組みには非常に違和感がありますね」
いくら現場が柔軟に対応しても、権限を握る役人は弱者に寄り添おうとしない。それはいつの時代も改まらない医療行政の欠陥だ。
コロナ禍の今こそ、旧来の悪弊を見直すべきである。
(つづく)