<11>本当に「川崎病」を発症させるのか?欧米で相次ぎ報告
日本川崎病学会は5月7日段階で日本に新型コロナウイルス感染症に関連する川崎病の症例報告はないとしているが、5月26日に韓国で川崎病ショック症候群の子供2例が報告された。
川崎病になると、冠動脈などの血管炎や冠動脈瘤が生じることがあるが、細い血管の炎症が原因とみられる皮膚症状が、特に若い新型コロナ患者で出現するという報告がある。
また、新型コロナでは、心臓の筋肉のダメージを示す血液中トロポニンの値が高いと、死亡率が高くなるかもしれないことを示す報告もある。
東邦大学名誉教授の東丸貴信医師が言う。
「日本での報告がないのは、小児のPCR検査件数が極端に少ないせいかも知れません。ただし、川崎病の原因として旧型コロナウイルスとの関係も疑われたことがあるので、重症になった子供では川崎病の可能性や心臓血管の炎症について十分注意する必要があります。心臓や血管の超音波検査なども考慮する必要があるでしょう」
川崎病の血管を特殊な顕微鏡で細かく見ると、細胞免疫を担うTリンパ球の活性化や液性免疫を担う免疫グロブリンの出現が認められている。また、新型コロナウイルス感染症でも増加する炎症性サイトカインが血中で上昇することが確認されている。また、炎症で内皮細胞が傷み、サイトカインで血管内部が活性化されると、血小板は凝集を起こしやすくなる。血管壁にもくっつきやすくなり、血栓が容易にできる環境となる。冠動脈などの小さな血管が感染すれば川崎病のような血管炎が起き、冠動脈瘤や心筋梗塞が生じる可能性があろう。
また、脳血管でそういうことが起これば脳動脈の閉塞で脳梗塞となる可能性もある。注意が必要だ。