日本人も対象に研究報告 高学歴で既婚の男性は長生きする
過去の研究論文によれば、学歴が高い人や、結婚をしている人は、そうでない人に比べて長生きであることが報告されています。しかし、これまでに報告されている研究データの多くが、社会経済格差の大きな米国で実施されたものであり、格差の小さな国や社会における影響については、よく分かっていませんでした。そんな中、結婚状況や教育水準と死亡リスクの関連を検討した最新の研究論文が、日本疫学会誌の2020年10月号に掲載されました。
この研究では、65~74歳の日本人2万2415人とフィンランド人1万1993人が解析の対象となりました。日本とフィンランドは、医療制度や教育制度が類似しており、米国と比べても国民の社会経済的格差が小さい国といえます。なお、研究結果に影響を与えうる年齢、喫煙・飲酒状況などの因子については、統計的に補正をして解析されています。
5年間にわたる追跡調査の結果、既婚男性と比較した未婚男性の死亡リスクは、日本人で1・47倍、フィンランド人で1・94倍、統計的にも有意に高いことが示されました。他方で、女性では両国ともに婚姻状況と死亡リスクに関連性を認めませんでした。また、教育については日本人男性でのみ関連性を認め、義務教育のみの人と比べて、高等教育を受けた人で31%、統計的にも有意に死亡リスクが低下しました。