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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

「髪の毛が抜けてしまうのは嫌!」叫んでみても気持ちは…

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 病院の隣のそば屋で昼食を済ませ、車を運転して帰る途中、ふと母のことを思い出してお墓に寄ってみることにしました。天気が良く、3000メートル級の山々の中腹には雲がかかっていましたが、山頂はきれいに見えます。

 墓地は、遠くの山脈が望める小高い丘にありました。50基ほど集まった墓石は、ご先祖さまが山々を眺めることができるようにと考えたのでしょうか、全基が山脈に向かって立っています。

「ご先祖さまは、毎日、山を眺めておられる」

 Mさんはそう呟いて、道中にあるスーパーで買った黄色い菊の花を供えました。

 お墓の隣に座り、ご先祖さま、亡くなった父母と一緒に山々を眺めているうちに、雲がライオンのように見えました。大きく口を開け、さらに胴体と尻尾もあります。

■雲がご先祖さまに

 ふと、宮沢賢治だったか、誰かが言ったことを思い出しました。

「人間も自然もこの世を形成している分子のひとつである。分子や原子というのは、お互いに結びついて事物を形成している。結局、この世に存在するものは、すべてがつながっている。死んだら自然に返る。灰になっても、それが土になり、そこからまた植物が生まれ、動物が育つ。われわれの体の細胞を作っているのと同じ元素や分子で、同じ物質で、自然は繰り返され、循環していく。人間も自然の一部に過ぎない」

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