がん医療は変わってしまった…夫を亡くした看護師からの手紙
そう告げられた瞬間、B子さんの頭の中にこんな思いが浮かんできました。え! 34分って、今からたった5分前? 何で私が着くまで生きていてくれなかったの……。
そして、「どうして!」と叫びました。
「いつ亡くなってもおかしくない状態とお話ししていたと思います」
そんな担当医の言葉を聞きながら、B子さんは泣き崩れました。
B子さんは看護師で、20代の頃に私と同じ病棟で働いていました。あれから約30年、B子さんはAさんの転勤で他の病院に移り、以来、お会いする機会はありませんでした。他の病院では、B子さんは新生児科、眼科などに勤務し、ほとんど、がん末期の患者の看護にあたることはありませんでした。
私とB子さんが一緒に働いていた当時は、がんの最期でも、いざとなれば家族が集まるまで生きてもらえる努力をしました。呼吸が止まると胸に手を当てて人工呼吸を、心臓が止まると心マッサージをしました。状態が悪くなれば、当直医がいても私は病院に泊まりました。