聞こえない期間が長いほど補聴器に慣れるまで時間がかかる
健康診断で所見ありと診断され補聴器の相談に来られる方がよくいます。
通常、健康診断で測る音域(音の高さ)は、時報の音程度の1000ヘルツから、鳥の鳴き声程度の高音域である4000ヘルツ。音量(音の大きさ)は、30デシベルとちょうど鉛筆の筆記音に相当する音と、ささやき声程度の40デシベル。この音の高さと大きさの組み合わせで左右各耳で聞こえているかをチェックします。
ちなみに会話の中心となる音の範囲は、250から4000ヘルツ。数字が小さくなるほど低音になるので、検査でチェックする音は会話の音域において比較的高い音になります。
なぜ高い音を重点的に調べるのか、不思議に思う方もいるかもしれません。加齢性難聴では、多くの方が高い音の音域で、かつ30デシベルと40デシベルという小さな音から聞こえづらさを自覚し始めるからです。
それは耳の構造に要因があります。
耳の穴から入ってきた音は鼓膜に届き、中耳を通して音を増幅しさらに奥の内耳に届きます。内耳の中の蝸牛(かぎゅう)というカタツムリ状の管の中で音を電気信号に変え、音の高低や大きさを分析し、脳に伝わります。