著者のコラム一覧
奥田研爾横浜市立大学名誉教授

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

ファイザーよりモデルナの方が心筋炎の発生頻度が高いのはなぜ?

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 厚労省は、モデルナ社ワクチンを接種した10~20代の若い男性が、「ファイザー社ワクチンに比べて心筋炎などの発生頻度が高い」と注意喚起した。それを受けて、1回目にモデルナ製を接種した人が2回目にファイザー製を選ぶことも認められることになった。

 ◇  ◇  ◇

【Q】同じmRNAでも、ファイザーよりモデルナの方が、心筋炎の発生頻度が高いのはなぜか?

【A】「両ワクチンの違いに関する正確なデータはありません。ただし、少なくともmRNAの量は、ファイザーが30マイクログラムに対して、モデルナは3倍以上の100マイクログラムと容量が多い。さらに、モデルナのRNAワクチンには、ワクチンの分解を防ぐような薬物が多く入っていると思われます。そのためモデルナはファイザーより免疫力が強いといわれているのです。一方で、若い人の副反応による心筋炎はファイザーがモデルナの5分の1以下で、女性、50代以上はほとんど起こっていません」

 若い男性に起こる原因について、現在はまだ論文なども発表されていないが、スウェーデンなどでは若い世代にファイザー社製のmRNAワクチンを打つような対策をしている。

【Q】コロナワクチンの有効期限を巡っては、4カ月、6カ月、8カ月とさまざまな説がある。インフルエンザの有効期限は約5カ月とされているが?

【A】「インフルエンザなど変異の多い株はその都度、免疫が必要でワクチンの有効性はあまり高くありません。コロナウイルスの抗体は6カ月も持てばいい方でしょう。友人の医師がコロナワクチンを2回接種後に抗体価を調べたところ、3カ月後に半分、6カ月後に4分の1まで低下していました。私も抗体価を調べると、5カ月で4分の1ほどに下がっていました。もっとも、ワクチンは血中の抗体だけが主ではなく、細胞性免疫や自然免疫も重要。細胞性免疫は消失までの期間が長いうえに自然免疫もあるため、抗体が4分の1になってもワクチンの効果まで4分の1になっているとは限りません。とはいえイギリスやイスラエルなどに限らず国内でも、いくつかの施設でブレークスルー感染が起きています。とくに医療関係者は8カ月ほど後を目安に3回目を打つのが良いと思われます」

【Q】定期接種のワクチンの有効期限はどれぐらいか?

【A】「結核はBCGワクチンを一度免疫すれば約15年くらい、A型肝炎ワクチンは10年は有効と考えられています。また、肺炎球菌ワクチンは5年に1度、その他麻疹風疹ワクチン、子宮頚がんワクチン、ジフテリアワクチンなどは一度接種で10年間くらいは感染しないとされています。帯状疱疹ワクチンも4~5年有効です」

◆10月28日に連載が単行本になります。3回目の接種や子どもたちの接種など、まだまだ知りたい情報をQ&A形式で答えます。


ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます
(発行:日刊現代 発売:講談社)

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