ファイザーよりモデルナの方が心筋炎の発生頻度が高いのはなぜ?
厚労省は、モデルナ社ワクチンを接種した10~20代の若い男性が、「ファイザー社ワクチンに比べて心筋炎などの発生頻度が高い」と注意喚起した。それを受けて、1回目にモデルナ製を接種した人が2回目にファイザー製を選ぶことも認められることになった。
◇ ◇ ◇
【Q】同じmRNAでも、ファイザーよりモデルナの方が、心筋炎の発生頻度が高いのはなぜか?
【A】「両ワクチンの違いに関する正確なデータはありません。ただし、少なくともmRNAの量は、ファイザーが30マイクログラムに対して、モデルナは3倍以上の100マイクログラムと容量が多い。さらに、モデルナのRNAワクチンには、ワクチンの分解を防ぐような薬物が多く入っていると思われます。そのためモデルナはファイザーより免疫力が強いといわれているのです。一方で、若い人の副反応による心筋炎はファイザーがモデルナの5分の1以下で、女性、50代以上はほとんど起こっていません」
若い男性に起こる原因について、現在はまだ論文なども発表されていないが、スウェーデンなどでは若い世代にファイザー社製のmRNAワクチンを打つような対策をしている。
【Q】コロナワクチンの有効期限を巡っては、4カ月、6カ月、8カ月とさまざまな説がある。インフルエンザの有効期限は約5カ月とされているが?
【A】「インフルエンザなど変異の多い株はその都度、免疫が必要でワクチンの有効性はあまり高くありません。コロナウイルスの抗体は6カ月も持てばいい方でしょう。友人の医師がコロナワクチンを2回接種後に抗体価を調べたところ、3カ月後に半分、6カ月後に4分の1まで低下していました。私も抗体価を調べると、5カ月で4分の1ほどに下がっていました。もっとも、ワクチンは血中の抗体だけが主ではなく、細胞性免疫や自然免疫も重要。細胞性免疫は消失までの期間が長いうえに自然免疫もあるため、抗体が4分の1になってもワクチンの効果まで4分の1になっているとは限りません。とはいえイギリスやイスラエルなどに限らず国内でも、いくつかの施設でブレークスルー感染が起きています。とくに医療関係者は8カ月ほど後を目安に3回目を打つのが良いと思われます」
【Q】定期接種のワクチンの有効期限はどれぐらいか?
【A】「結核はBCGワクチンを一度免疫すれば約15年くらい、A型肝炎ワクチンは10年は有効と考えられています。また、肺炎球菌ワクチンは5年に1度、その他麻疹風疹ワクチン、子宮頚がんワクチン、ジフテリアワクチンなどは一度接種で10年間くらいは感染しないとされています。帯状疱疹ワクチンも4~5年有効です」
◆10月28日に連載が単行本になります。3回目の接種や子どもたちの接種など、まだまだ知りたい情報をQ&A形式で答えます。
「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」
(発行:日刊現代 発売:講談社)