患者さんや家族に合ったキャラの医師やスタッフをマッチング
「人を見て法を説け」ということわざがあります。説法する時にはその相手の性格や状況などを考えて、それぞれに合ったふさわしい方法で行うことが大切だとする仏様の教えです。
この教えは私たち在宅医療の現場でも日々実践されています。
一般的に患者さん側からこういう感じの医師やスタッフがよいといった具体的なリクエストがあるわけではないのですが、担当する患者さんがどんな症状で、そのご家族がいったいどんな思いなのかなど、面談の中で可能な限り拾い上げます。私たちの医院に所属するスタッフはさまざまな個性を持ったスペシャリストばかりです。現在のところ、医師は男性が19人で女性が14人。A医師は理論的な説明が得意だとか、B医師はお話を通じて相手からいろいろと聞き出すのがうまいだとか、それぞれ専門やキャラクターが違うため、どの患者さんに合うのかを考慮し、担当を決めるようにしています。
それは、医師やその他のスタッフが患者さんや家族に受け入れられなければ、在宅医療そのものが成立しないためです。かつて在宅医療というよりも医療に対して不信感を持つ患者さんと家族を担当したことがありました。その患者さんは91歳の女性。膀胱がんが恥骨と左臀部、リンパ節にも転移していました。