薬を早い段階で飲み始めるか、食事と運動でギリギリまで頑張るか…
糖尿病専門医は患者さんを診察していく中で、今の状態だと血糖コントロールは今後どのように変化し、あと何年くらいで合併症が出てくるだろうと予測しながら、治療計画を立てています。
進行を遅らせ、合併症を発症する時期を最大限に遅らせるには、どういう薬がいいか? 多種多様の糖尿病治療薬が登場していますから、今ある薬の中から患者さんにベストと思われるものを選んで提案するわけです。
世界中で行われている新薬の研究の情報も常にチェックしています。新型コロナウイルスの治療薬のように薬が超短期間で承認されるのは例外中の例外で、薬は開発、承認までに何年もかかります。
「◎年先には▲▲▲の新薬が出る可能性がある」という情報があれば、そのタイミングで薬を切り替えられるように、患者さんの血糖コントロールをいい状態で保てる治療法を考えます。
ただ、せっかく効き目の高い薬、使い勝手のいい薬が登場しても、糖尿病が進行し、合併症をすでに発症してしまっていたら、「残念ながら、新薬の良さを生かせる段階を過ぎてしまっていた」となりかねません。