自覚症状がない患者に納得して治療を受けてもらうために必要なこと
患者さんが抱く不安の裏側には、「やらなくてもいい治療をやっているのではないか」という疑いの心がある場合も少なくありません。ですから、医療者側は「本当に必要な治療だから行っている」ということを患者さんに理解してもらわなければなりません。
ただ、「本当に必要だからこの治療を行っているんだ」と、患者さんが納得できる客観的な根拠を示すのは簡単ではありません。医療者側からすれば、適切な治療を行うべき根拠はいくつもあるケースがほとんどでしょうが、医学的知識がそれほどない患者さんにしっかり理解してもらうのは大変です。
そうした根拠の中で、いちばん信頼性が高く患者さんに納得してもらいやすいのが、「自覚症状がある」という状況です。さらに、その症状に対応する「診断」が確定していることも大切です。患者さんに何らかの自覚症状があって、しっかり診断がつけば、次の段階で「ガイドライン」が適用となります。ガイドラインには、どのような検査を行えばいいのか、状態に応じてどんな治療があるのかといった指針が書かれていますから、患者さんも客観的な視点から納得して治療の流れに入っていけるのです。