アルツハイマー病は発症前に見つける 受けるべきは「アミロイドPET検査」
このMRI、アルツハイマー病をいつ見つけられるかというと、発症前後になるので、早期発見に役立つとは言えません。
MRIは、脳の形態を見る検査で、脳の萎縮がある程度進んでからでないと異常が見つけられません。アルツハイマー病は脳の萎縮が見られる病気ですが、それは認知症を発症する2~3年前になってから。早期発見とはなりません。
そこで私のクリニックで行っている検査が「アミロイドPET検査」です。PETは脳の機能などを画像化する最新の技法で、「アミロイドPET検査」では、脳の中にあるタンパク質アミロイドβの沈着を調べます。
アミロイドβはもともと脳にあるタンパク質。これが、まだ解明されていない何らかの理由で神経細胞の内外にたまり、神経細胞を死滅させ、脳が萎縮しアルツハイマー病を発症することが明らかになっています。
このアミロイドβは20年以上という長い年月をかけて蓄積し、脳を変性させます。アルツハイマー病が疑われる症状が出てくるよりはるか前から、脳は、アミロイドβの影響を受けているのです。「アミロイドβがたまり始めている。でも神経細胞はまだ健在」という時期、つまりはアルツハイマー病を発症する前にアミロイドPET検査を受け、その状態に応じて対策を講じれば、アルツハイマー病の発症をできるだけ回避し、発症の時期を遅くできることが可能なのです。