今や死因の10%強 急増する「老衰」を年間200人を看取る名医から学ぶ

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 動くと息切れがするので、より動かなくなると、ますますADL(日常生活動作)が落ちていくという悪循環になる。この段階で、無理に水分を取りすぎたり、必要のない過剰な点滴をしてしまうと、足がむくんだり、肺や心臓に水がたまるなど体に負担がかかり、余計に苦しくなる。

「食べ物も無理に食べさせると、のみ込む力が弱くなってきているので誤嚥肺炎を起こすリスクが高くなり、『老衰』ではなく、死因が『誤嚥性肺炎』となってしまうこともあります」

■自然死は美しい

 亡くなる数日前には、血圧がさらに下がり、70以下になる。一日のほとんどを寝て過ごすようになり、口からほぼ何も食べられなくなる。手足の血液循環が悪くなり、紫色になるという。

「これは、最期の時間まで一番大事な脳や心臓に可能な限り血液を届けるために手足の末端まであえて血液を循環させない体の大事な反応なのです。その時には、指先から測る酸素飽和度は測れなくなったり、異常に低い数字が出ますが、焦らないでください。この時期になると、採血結果、血圧や酸素飽和度などの『数字』は気にせず『体に出る症状』だけに注意することが大切です」

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