著者のコラム一覧
王瑞霞医学博士、中医師、鍼灸師

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

東洋医学にまつわる「ことわざ」にはどんなものがある?

公開日: 更新日:

 東洋医学は悠久の歴史を通じ、私たちの生活に浸透・影響を与え続けており、それらはことわざや戒めの言葉としていまに残されています。

 例えば「お酒が五臓六腑にしみわたる」。内臓を表す五臓六腑も、実は東洋医学的な言葉なのです。五臓は肝・心・脾・肺・腎。そして六腑は胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦となります。このうちの三焦は東洋医学独特の概念で、気と水の通り道という働きがあります。また、体の躯幹部を上焦・中焦・下焦の3部位に分ける概念としても用いられます。

 また、上品な女性の所作や振る舞いを例える言葉に「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花」がありますが、実は元々は漢方生薬の用い方を例えたものだといわれています。

「立てば芍薬」の「立てば」はイライラする気の立った女性を表し、そんな場合は芍薬(根)により改善する。「座れば牡丹」はペタンと座ってばかりいるような元気のない女性のことで、牡丹(根の皮)の処方がよい。そして「歩く姿は百合の花」は、精神的に不安定な状態でナヨナヨと歩いている場合、百合(球根)を用いればよいことを表しているといいます。

 実際に女性の不調や病気に用いられる代表的な漢方処方である、加味逍遥散や当帰芍薬散、さらには桂枝茯苓丸には、しっかりこの芍薬と牡丹が配合されており、不安神経症に用いられる百合知母湯の主成分には百合根が配合されています。

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