物忘れや無気力の症状は「甲状腺機能低下症」のせいかもしれない
その患者さんのうち、甲状腺機能検査実施率は約3割。つまりは、7割の患者さんが、「もしかして認知機能低下は甲状腺機能低下症のせいかもしれない?」と疑われず、検査を実施されていなかったのです。
前回、「当初は認知症を疑ったが、実は別の疾患だったという症例を経験したことがある」と回答した医者が全体の約48%いた、という意識調査の結果を紹介しましたが、「お医者さんが認知症と診断したから、そうなんだ」とすぐに受け止めるのはいかがなものか、ということが分かってもらえるでしょうか? なんでもかんでも疑えばいい、ということではありません。しかし、たとえばがんであれば、医者の診断や治療方針に対して「本当にそうなのか」という疑問を抱き、自身で情報を集めたり、セカンドオピニオンを検討するケースは少なくないでしょう。
ところが認知症では、まず患者さんご本人が診断結果の正当性を疑いづらいこと、ご家族も「年を取っているから仕方がない」とそのまま受け止めてしまいがちであることから、「治る認知症」があったとしても、見過ごされているケースが散見されるのです。