著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

コロナ感染が最も拡大しやすい社会環境は? 東京都の疫学調査を解析する

公開日: 更新日:

 2023年の年明けから、新型コロナウイルスの感染者は減少傾向にあります。しかし、感染拡大のリスクが完全に消えたわけではありません。

 社会の正常な機能を維持したまま効率的な感染対策を行うためには、感染リスクが最も高い環境を適切に把握する必要があります。そのような中、社会環境と感染リスクの関連性を検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに2023年2月1日付で掲載されました。

 この研究では、2020年1月23日~12月5日の間に東京都で報告された新型コロナウイルス感染者4万4054人(年齢中央値36歳)が解析対象となりました。保健所が実施した疫学調査のデータを用いて、社会環境と感染の発症状況が比較されています。なお、本研究で解析された社会環境は、海外渡航、ナイトライフ(夜間営業のレストラン、バー、ナイトクラブなど)、飲食店、職場、家庭環境、介護施設などを含む医療機関、その他の7つに分類されました。

 その結果、2次感染例(クラスター)の発生割合は、医療機関で最も多く36.2%、次いでナイトライフの18.9%でした。一方、最初の感染者が他の人にも感染を拡大させる可能性はナイトライフで最も高く、家庭で最も低いことも示されました。感染拡大のリスクは、ナイトライフで感染した場合と、家庭で感染した場合では、約2倍の差(ナイトライフと比べて家庭で97%減)がありました。

 論文著者らは「ナイトライフで確認された感染例は、家庭や医療機関で確認された感染例と比べて、新型コロナウイルスの感染を拡大させる可能性が高い」としたうえで、「感染拡大の初期においては、ナイトライフ環境を中心とした感染動向の監視を優先させるべき」と結論しています。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希はロッテの「足枷」だった…いなくなってFA石川柊太の入団がもたらす“これだけのメリット”

  2. 2

    絶対守護神マルティネス「巨人入り」急浮上の舞台裏…米敏腕記者が「2年24億円で合意間近」と

  3. 3

    フジテレビが2番組を終了させダウンタウン松本人志に「NO」を突き付けたワケ…日テレとは異なる対応

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  5. 5

    米倉涼子「ドクターX」興収30億円でも満島ひかりが阻む"興収女王"の座…期待値の高さから落胆の声も

  1. 6

    立花孝志氏が大阪・泉大津市長選で惨敗…有権者の投票行動を後押しした「お笑いみたいな噂」

  2. 7

    佐々木朗希の「独りよがりの石頭」を球団OB指摘…ダルやイチローが争奪戦参戦でも説得は苦戦必至

  3. 8

    安倍昭恵氏が石破外交“切り札”に? 米トランプ次期大統領との会談模索に「私人」を担ぎ出す情けなさ

  4. 9

    安倍昭恵さん×トランプ夫妻「夕食会」の舞台裏…永田町で飛び交う臆測と“パイプ役”の名前

  5. 10

    M-1グランプリ審査員は“完璧な布陣”…ますます高まる「松本人志不要論」