コロナワクチンを接種しない人は交通事故を起こしやすい?
自動車による交通事故の多くは、スピード違反、不適切な追い越し、信号無視、右折禁止違反などによって引き起こされます。このような行動は、安全に対する人の認識や態度を反映しており、このことはまた健康リスクに対する認識や態度とも関連している可能性があります。
たとえば、健康に対する関心が低い人では、交通安全に関する推奨事項も軽視する傾向があるかもしれません。感染症に対するワクチンの接種をためらうこともまた、安全に対する態度の一部と関連している可能性があります。そんな中、新型コロナウイルスワクチンの接種と、交通事故の関連性を検討した研究論文が、米国の医学誌に2022年12月2日付で掲載されました。
この研究では、カナダのオンタリオ州に在住している約1100万人の成人が対象となりました。医療記録データベースに基づき、新型コロナウイルスワクチンの接種状況が調査され、同地域の病院から報告された交通事故6682件との関連性が解析されています。
調査対象者の16%がワクチン未接種者でした。また、報告された交通事故のうち、25%に当たる1682件がワクチン未接種者によるものでした。解析の結果、ワクチンを接種していない人では、ワクチンを接種した人に比べて、交通事故のリスクが72%、統計的にも有意に増加しました。解析結果に影響を与えうる年齢や性別、居住地域などの因子で統計的に補正しても、48%のリスク増加が示されました。
論文著者らは「交通事故リスクの大きさは、飲酒によるリスクよりは小さいものの、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に発生する無呼吸で熟睡できず、日中に強い眠気を生じてしまう病気)に関連するリスクに匹敵する」と考察しています。