下山祐人
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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

体調、薬、家庭環境まで…在宅医療の診療所ではさまざまな電話相談に対応

公開日: 更新日:

 複雑な家庭環境や遺産相続に関する問題について、患者さんのご家族からお電話をいただくことも。私はこのような時は努めて、ご本人の気持ちの整理がつくまで傾聴し、診療所としてできることをお伝えするようにしています。

「今日は反応が悪く、体の動きが悪いです……。ストローで水分を取っているんですが、今日は吸えなくて。お返事がなく、言葉が発せられない! 一晩で様子がごろっと変わりました! おむつ交換の時、声をかけると顔はそっちに向いても体が動かないんです」

 この時は患者さんのお手伝いさんからのもの。違和感があり怖いからとのご相談の連絡でしたが、このお手伝いさんの違和感は間違いありませんでした。

 すぐに私たちがご自宅に向かうと、お手伝いさんが言うように、いつもと様子の違う患者さんがベッドに横たわっていました。診断の結果、脳梗塞の疑いで救急搬送され、病院の集中治療室で治療を受けることになったのでした。

 このように訪問診療では、多様な患者さんやそのご家族のヒューマンドラマが繰り広げられます。とりわけご家族にとってみれば、人生の終わりが近い身内を前に、恐怖を感じたり取り乱したりすることは誰でも自然なことだと考えます。

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