小児性愛症は治療が必要(1)パートナーとのセックスレスが目覚めるきっかけに
このところ、幼稚園や学校、学習塾における「子供の性被害」の報道が相次いでいる。警察庁が公表した「犯罪統計」によると、2022年における12歳未満の児童に対する強制性交等や強制わいせつの被害件数は約1000件とされ、実態はさらに多いと推測されている。小児性愛はなぜ起こるのか? 精神科医で、日々、性加害者の治療にあたる性障害専門医療センター(SOMEC)代表理事の福井裕輝氏に聞いた。
「同意のない相手に繰り返し性的欲求を抱いたり、自分の行動が犯罪行為であると分かっていてもその欲求をコントロールできない、あるいは何度も行動に移す状態を、医学的には『性嗜好障害(パラフィリア)』と言います。のぞきや盗撮を行う『窃視症』や、痴漢などの強制わいせつを行う『窃触症』『露出症』のほか、13歳未満の小児や児童に性的関心を抱いて性的行為の空想にふけったり、実際に小児に対して加害行為をする『小児性愛症』などがあり、いわゆる依存症の一種です」
中でも小児性愛症は人口の5%に該当するとされ、生まれつき(先天的)に小児だけに性的関心を抱く「純粋型」と、何らかの環境的要因で成人だけでなく小児に対する性的関心が生じる「非純粋型」に分類される。後者の場合、パートナーとのセックスレスや、成人の異性から恋愛で相手にされないなど、環境的な要因で引き起こされやすいという。