真夏前に知っておくべき「性感染症」(4)日本最多の性感染症「クラミジア」は不妊症の原因
日本で最も患者数が多い性感染症が「性器クラミジア」だ。2016年の2万4397人(定点観測医療機関数985カ所)から22年には3万136人(同983カ所)と急増している。性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長が言う。
「クラミジア・トラコマチスと呼ばれる細菌の一種が病原体で、粘膜接触で感染します。感染経路は膣性交による尿道や子宮頚管、オーラルセックスでの咽頭、肛門性交による直腸への感染が多い。1回の性交での感染率が30~50%と高いうえ、感染の自覚症状は男性で50%、女性は20~30%しかないため感染に気づきにくく、感染者が新たな感染源となることが感染者数が多くなる原因だとされています」
感染すると、男性は尿道炎、女性は子宮頚管炎、男女ともに咽頭炎を発症しやすい。
「男性の尿道炎の場合は、感染から1~3週間後に水っぽい白い分泌物が出て尿道にかゆみや不快感、排尿痛などが現れます。症状が軽いからと放っておくと精巣上体炎を起こす恐れがあり、男性不妊の原因になる可能性があります。女性の子宮頚管炎ではおりものが増え、下腹部痛、不正出血、排尿痛、性交痛などの症状が出ることが多い。病原体が子宮のさらに奥に進み、卵管炎、内膜炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎などを発症することもあります。卵子と精子が融合して着床する子宮内膜や卵子と精子の通り道である卵管に炎症があると着床や移動ができなくなり、不妊につながるのです」