親の交流関係を知ることが介護にこれほど役立つとは思わなかった
日本は核家族化が進み、1世帯当たりの人数が年々減っている。1980年ごろは平均3人だったのに、2033年には2を割り込むとの予想があるほどだ。夫婦のみ、あるいは独居の高齢者世帯が増え、離れて暮らす子供は親の暮らしぶりを直接確認することが難しい。
今の高齢者ならスマホを使いこなし、電話やメール、ビデオ通話で連絡を取り合えるから心配ないとの思いもあるだろうが、久しぶりに帰省し数日一緒に暮らしてみるとさまざまな「老い」を目の当たりにすることが珍しくない。以前は問題なかった階段昇降が危なっかしい。食事がワンパターン。家に閉じこもりがち、などなど。
ただ、これらの変化に気づき話をしても、親は「大丈夫、心配ない」と自身の老いを素直に認めたがらない。それ以上突っ込んだ話をしたくても、ガードが堅く苦労するのもよく聞く話だ。筆者も随分とこれで親の真意をくみ取るのに苦労した。そんなもどかしさを解決してくれたのがご近所のHさんだった。
Hさんと親は昔からの知り合いで同世代。お互い子供が独立するとよく家を行き来するようになり、これからの生活や子供への思いを語り合ったりしていた。筆者はそんなことなど知らず、たまたま挨拶に行った時「あなたの親御さんはいつもこんな話をしていてね……」と、自分の知らない親の思いを聞かされたのだった。もちろんそれが全て親の本音とは言えないが、親の気持ちの一端を知ることができたのは大きかった。