デジタル社会どう目を守る(1)長時間の利用で子どもが「スマホ斜視」に
夏休みも中盤となり、子どものスマホやゲームのやり過ぎに頭を悩ませている家庭も多いのではないでしょうか。
デジタル機器は多くのメリットがある一方で、成長期の子どもの心身に悪影響を及ぼす面も否定できません。5年前にWHOが病気と認定したゲーム障害もその一例ですが、忘れてはならないのが、子どもの目への影響です。目の機能が未発達の子どもにとって、デジタル機器は目の負担が大きく、近視の低年齢化や増加の一因となっているからです。
「手元で画面を見るスマホやゲーム機は、目からの距離が短くなりがちです。紙の本の視距離は平均30センチですが、スマホ画面は20センチ。10センチ短いだけで目のピント調節にかかる負担が1.7倍大きくなり、これを長時間続けると近視につながるのです。夏休みはこの状態が加速するので注意が必要です」
こう話すのは子どもの目に詳しい眼科専門医の近藤永子・日本眼科医会常任理事。
子どもの裸眼視力の低下の割合は近年、右肩上がりに増加しています。文部科学省の調査では1979年の小学生と中学生の裸眼視力1.0未満の割合は、それぞれ17.9%と35.2%だったのが、2022年には37.9%と61.2%となり、その多くの原因は近視であると報告されています。