人間関係を重視し、仲間意識を重視するのは不安の裏返し
人間の基本的欲求の中には、「親和欲求」と呼ばれる、誰かと一緒にいたいと思う気持ちが備わっています。家族、友達、交際相手など心を許せる人たちと一緒にいると安らぎを覚えるのは、この親和欲求によるものなのですが、協調を好む日本人は親和欲求が強いとも言い換えられるかもしれません。
心理学者のシャクターが行った「電気ショックを与える」という実験(1959年)は、親和欲求を知る上でとても興味深い結果を報告しています。
実験は、「電気ショックはあくまで生理的反応を測定するため」と被験者に説明した上で、「電気ショックはかなり不快で苦痛を伴うと説明したグループA」と、「電気ショックは軽いもので苦痛を伴わないと説明したグループB」の2つのグループに分けて行いました。
そして、実験開始前に意図的に10分間待機するように指示し、「1人で待つ」か「複数で待つ」かを選択させました。その結果、グループAの62.5%が「誰かと一緒に待ちたい」と答え、グループBでは33%が「誰かと一緒に待ちたい」と答えたといいます。つまり、不安が強いほど誰かと一緒にいたいという気持ちが強くなることが示されたのです。