日本人の「出る杭は打たれる」は本当だった…誰かが突出することを恐れる
こうしたゲームを10回×2セット行ったわけですが、とてもシンプルなゲームですから、毎回10ドルをかけるのがもっとも儲かる方法となります。毎回10ドルをかけることがAさんもBさんも手っ取り早くお金が増えるかけ方です。
この実験を、2002年に西條らは今度は日米比較で行ったのですが、日本人の参加者は、ゲームによってあえて0~9ドルをかける人が一定数いたといいます。
つまり、10ドルかけたAさんの取り分が減るケース②のように、たとえ全体的に自分(Bさん)の取り分が減るとしても、味方であるAさんの持ち金が減るような懲罰的な行動をするケースが散見されたというのです。
こうした行動を取り続ければ、当然、パートナーであるAさんは不快感を示します。そのため、実験が進むにつれ、協調的に振る舞う日本人被験者が増えたといいます。批判されることを恐れて、同調・忖度するようになった──。なんとも私たち日本人にとっては耳の痛い結果が示唆されたのです。
日本人は、独特の特徴を持っています。仲間意識を持ちながら、誰かが突出することを恐れ、ときに足を引っ張ることもいとわない。「出る杭は打たれる」のは、日本人ならではともいえるのです。