著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

しっかり記憶したい内容は「拡張分散学習」がベター

公開日: 更新日:

 立教大学の中田によると、このような説が支持されていた背景に「想起練習効果」と「想起努力仮説」があります。「想起練習効果」は、情報を思い出そうとする練習が記憶を強化する――。平たく言えば、パッと答えが出てくるための練習が記憶を強化するという考え方です。

 一方、「想起努力仮説」は、想起するときの努力が大きいほど記憶保持が向上する。「アレ、何だっけな……あ! 〇〇だ!」というように、解答するまでに至る労力が記憶を強化するという考え方です。

 この2つの方法を活用するためにも、「学習者が情報を思い出す際に適度な困難さ(望ましい困難)を経験する」ことが効果的な復習とみなされ、「拡張分散学習」はよいとされてきました。

 ただ、近年は「拡張分散学習」の効果に疑問を呈する研究も増えており、前述の中田氏もそのような研究を行っています。ですが、この試行錯誤こそ科学的な行いとも言えます。

 実際に、語彙学習の際などは「拡張分散学習」を応用している例などもあり、人によっては効果をもたらすケースでもあります。間違いなく言えることは、1回だけでの復習では記憶の定着は難しいということです。忘れたくないなら、復習はこま切れに実行するしかありません。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  3. 3

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 4

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  5. 5

    マイナ保険証「期限切れ」迫る1580万件…不親切な「電子証明書5年更新」で資格無効多発の恐れ

  1. 6

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  2. 7

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  3. 8

    Mrs.GREEN APPLEのアイドル化が止まらない…熱愛報道と俳優業加速で新旧ファンが対立も

  4. 9

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  5. 10

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差