麻布、開成、武蔵も…学習塾に支配される名門進学校の厳しい現実
■持ちつ持たれつの関係
「90年代半ば頃から、中高一貫校の新興勢力が大学受験戦線で活躍しだすのですが、実はこれは学習塾が後押ししている部分が大きい。中学受験を目指す生徒たちに、どこが向いているか塾がアドバイスする。そうした時、普段から交流がある学校を勧めるケースが少なくない。一方、これから大学受験で伸ばしていきたいと考えている学校の側もまた、積極的に学習塾にアピールしてくるわけです。そうして、持ちつ持たれつの関係ができていくのです」
これまで名門校にばかり集まっていた“出来る生徒”が新興校にも進むケースが増えてきたというのだ。学校側にとっては学習塾との交流がもたらした成果である。進路指導元スタッフは次のように続ける。
「持ちつ持たれつといっても、癒着というのとはちょっと違う。情報をたくさん得られている学校については、そこに合わせたテストや授業を組みやすい。そうしたコースを受講した生徒には当然、その学校を勧めることになります。逆に、まったく接点がない学校については、対策を十分に立てられないため、生徒に積極的に勧める場面が格段に減ってしまうのです」