ナカノ“最も美しい”ゴミ集積箱 高齢者への思いやりから「ダスポン」は生まれた
従来の「ごみ捨て場」は「ゴミステーション」へと進化を遂げている。その先駆者が富山県黒部市に本社を構えるナカノだ。同社の「スライドダスポン」は“最も美しい”ゴミ集積箱としてグッドデザイン賞も受賞した。
1967年に中野鉄工として創業した同社が、なぜゴミステーションなのか? 元はYKKの下請け企業だったが、次世代型ゴミステーションの開発に着手したのは、「地元の町内会長の『カラスに荒らされないきれいなゴミ置き場を作って欲しい』とのリクエストから」(同社の広報担当者)だったという。
ナカノの社員の対応は早い。地元のゴミ収集会社に頼み込んで1週間働かせてもらい、600カ所以上のごみ集積所を見て回り、その形状をすべて記録したのだ。その際に目の当たりにしたのが、高齢者や女性が鉄製の扉を上下に開けてゴミ捨てに苦労している姿。「重いゴミ袋を持ち上げなくてもいいように」と扉を横スライド式にすることを考案した。さらに、街の景観を損なわないスタイリッシュな製品をとのコンセプトから生み出されたのが、総ステンレス製の1号機だ。