和田秀樹
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和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

よい年の重ね方をしている人に共通するのは「品よく」「賢く」「面白く」の3つだ

公開日: 更新日:

 高齢者専門の精神科医として、これまでに6000人以上を診察しています。その中には、大臣経験者や大企業のトップ経験者などセレブといわれる方も何人かはいました。

 現役時代に地位が高かった方々が認知症になって高齢者施設に入居したら、その病室に家族や友人が絶え間なく見舞いにこられるか? 必ずしもそうではありません。家族や部下に愛されていなければ、部屋でぽつんと一人で外を眺めたり、寝ていたりするだけで、寂しい状況です。

 一方で見舞客が絶えず訪れる部屋もあります。周りの方と分け隔てなく接していた方は、老いても変わりなく慕われるのでしょう。

 こうしたシーンを垣間見ていると、現役時代にやってきたことが返ってくるのが晩年だと思います。人にどれだけ尽くしたかどうかの真価が問われるというと、大げさかもしれませんが、そういう一面は少なからずあるでしょう。

 そういう経験から、よい年の重ね方をしている人には、私なりに3つの共通項があることに気づきました。「品よく」「賢く」「面白く」の3つです。順に説明しましょう。

「品よく」とは、老いを素直に受け入れ、ジタバタすることなく、おおらかに生きるということ。本人は多少の不安を感じているのでしょうが、そういう人は不思議な落ち着いたオーラを醸し出していて、それが周りの人に品よく映るのだと思います。

「賢く」は、その人の経験を踏まえた発想ができるということです。スマホ全盛のいま、知識量を競っても意味はありません。それよりは、その人の経験に基づいたことを話せるかどうかが重要です。それができれば、周りに一目置かれますし、世間の常識にとらわれず、自分の価値観をしっかりと築いている人は、面白い。「面白さ」を備えた人の周りには、高齢者でも若い人でも、自然と人が集まります。

「品のある老人」「賢い老人」「面白い老人」はいずれも周りに愛されるでしょう。そうやって愛されている方々は、ヨボヨボしてきたり、ボケてきたりしたときにも周りに囲まれて最期を迎える可能性が高いと思います。そうすると、その人の品格が試されるのは、やっぱり晩年です。

 私は、自分の努力目標として「老いの品格」(PHP新書)を書いていますが、読者の皆さんもこの3つを意識しながら生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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