大流行の「ガチ中華」本場のおいしさとマナー 中国全土を食べ歩いたジャーナリストが指南
山西料理の過油肉はあっさりしてこそ!
中国北部に位置する山西省は、黒酢を大切にしていて、ふだんはビールで乾杯するが、吉事があるとその最高峰・山西老陳醋で乾杯するという。北京ではそのブランド黒酢のニセモノが出回るほどだが、山西料理にはふんだんに使うそうだ。
「山西老陳醋は日本の白酢と異なり、深いコクとウマミがあり、飲み干すと血液にのって体にしみ渡る感じがします。その高級黒酢を惜しげもなく使用した山西名物が過油肉です。初めていただいたとき、料理名のイメージとは違って、『あっさりしていますね』と感想を述べると、『あっさりしていなければ過油肉ではない』と返されました。この料理は豚肉とタマネギ、ニンニクの芽などを炒めるときに、山西老陳醋を使用することで、豚肉はふっくらとし、味はあっさりとするのです」
酢豚をはじめ黒酢を用いる中華料理はよくあるが、それほどあっさりした印象はない。「山西料理は黒酢の魔術師」と高評価する現地の味を提供するのが山西亭(東京都新宿区大久保2-6-10 B1)だ。