大流行の「ガチ中華」本場のおいしさとマナー 中国全土を食べ歩いたジャーナリストが指南
四川料理はトイレまで含めて味わう
人によっては、ガチ中華=激辛をイメージするかもしれない。その前提にあるのが、激辛でおなじみの四川料理だろう。
「私が四川省の成都でいただいた本家の麻婆豆腐は東京で食べ慣れたものと明らかに違いました。色は赤ではなく、こげ茶。一口食べると、舌がしびれてきます。そのしびれは食道から胃に伝わり、腸を経由して最後は尻に来ます。実は四川省を巡ったとき、ガイド役の地元の方が1日置きに夕食の予定を組んだのを見て、何も知らない私は『空白の日も予定を』とお願いしたのですが、翌朝のつらさで体感しました」
ガイドはそれを見越して、1日置きの夕食の予定を組んだわけだ。激辛料理を食べた翌朝に“被爆”するのは、中国人も同じだそうだ。
「四川の名物である激辛の火鍋や水煮(肉や魚を唐辛子で煮込んだ料理)なども同じ。家に帰るまでが遠足と教えられたように、翌朝のトイレまでが四川料理の楽しみ方でしょう」
ちなみに火鍋のスープを2種類選ぶ場合、1つを辛くない白湯に、もう1つを激辛にするのが一般的だ。火鍋チェーンなら、スープが沸く間にタレを作って待つ。
「スープが沸いたら、小皿に白湯をすくってタレコーナーから持ってきたパクチーを振りかけてすすると、フレンチでアペリティフを飲むように胃が動き始めます。そして羊肉などは激辛に、野菜は白湯にひたしていただくのがセオリーです」
海底撈火鍋池袋店(東京都豊島区南池袋1-21-2 5、6階)の締めの麺は、川劇俳優が麺の塊を振り回しながら伸ばしていくと、最後に切り分ける。「食べてよし、見てよしがガチ中華です」とほほ笑む。