鹿児島県警の内部告発…焦点は「公益通報者保護法」の壁にある
鹿児島県警の前生活安全部長が、ストーカー事案の被害女性の氏名などが記載されていた内部文書をライターに送ったとして国家公務員法違反(守秘義務違反)で逮捕された事件が話題です。
前部長は、5日後の6月5日、勾留理由開示の法廷において「県警職員が行った犯罪行為を、本部長が隠蔽しようとしたことがあり、どうしても許せなかった」と、内部情報を漏らしたことを認めた上でこう語っています。非常に勇気のある内部告発だと思います。しかし、県警トップの本部長は、「私が隠蔽の意図をもって指示を行ったことは一切ございません」と否定しています。
現在、前部長の内部告発は「公益通報」(公益通報者保護法第2条第1項)なのかどうかが議論になっています。「公益通報」に当たれば、不利益な取り扱いが禁止されることになり、前部長の行為は国家公務員法には抵触するけれども、違法性がなくなるため処罰されないということになります。
ただ、組織の不正を告発する内部告発であったとしても、「公益通報」として保護されるためには一定の要件を備える必要があります。