「超音波装置」で割高手術に誘導? 飼い主を誤解させる手術のPRフレーズ
最も有効なのは腫瘍や軟部組織の切除で、特に血液を貯留する脾臓や血管が密集する部位はこの装置がとても便利です。出血のリスクを抑えつつ手術ができますから。
しかし、開腹手術だと腹膜や被膜には体に吸収される糸を使い、皮膚では吸収されない糸を使うため、抜糸が必要です。前述の文章は、誤解しやすいでしょう。
■一般的な避妊手術より割高に
しかもこの装置を使うと、写真でピストルのような形の銃身の部分は使い捨てのため、その分が手術費に上乗せされます。これが高い。当院のタイプで6万円です。当院で小型犬の避妊手術は、この装置を使わない一般的な方法で5万~6万円ですから、一般的な避妊手術よりもかなり高額になるのは仕方ないでしょう。
この装置を使う避妊手術は、一般的な術式に比べるとかなり大がかりで私は必要性を感じていないので、そもそも避妊手術にこの装置を使いません。当院でこの装置を使用するのは、前述した腫瘍や脾臓の摘出が一つ。もう一つは、緊急性のある開腹手術のときに効率的な血管の分離などに用いるケースです。
こうした表現があちこちで見られるのは、割高な手術に誘導したい気持ちがひょっとするとあるのかもしれません。
(カーター動物病院・片岡重明院長)