加熱式たばこ 今とこれから
「glo(グロー)」を柱に展開するBATジャパン(ブリテッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン)の 戦略から見えてくること
加熱式たばこ「glo(グロー)」を柱に成長を続けるBATジャパン(ブリテッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン)
8月6日、グロー新デバイスのスタンダードモデルと、リニューアルしたたばこスティックを同時発売した。はたしてどんな製品なのか。業界をリードする同社グループの戦略とあわせ、3人のキーパーソンを直撃して話を聞いた。
最新デバイスの登場
2016年、世界に先駆けて日本で発売された加熱式たばこ「グロー」。進化を続ける同製品の愛用者は少なくないだろう。
「昨年12月からお届けしているデバイス『グロー・ハイパー・プロ』は、フラッグシップモデルとして大変好評を博しています。今年8月6日発売の新デバイス『グロー・ハイバー』は同モデルの新技術やプレミアムデザインを引き継ぎ、使いやすさを追求し操作をシンプルにしたスタンダードモデルにあたり、フラッグシップモデルとともに新ハイパー・シリーズとして展開しました」
「同日リニューアル発売の『ラッキー・ストライク』のたばこスティックも、デバイスの頻繁な掃除を不要とする革新的な新技術を搭載。デバイスとスティックがともに進化した『グロー』の新ハイパー・シリーズにより、これまでにない体験を楽しんでいただけるでしょう」(BATジャパン社長、エマ・ディーン氏)
技術力の高さ デバイスはさらに進化
まずデバイスの進化の詳細を見ていこう。「グロー・ハイパー」「グロー・ハイパー・プロ」はともに、最新加熱技術「ヒート・ブースト・テクノロジー」を搭載している。
「従来のデバイスに備わる誘導加熱技術を改良した『ゾーン加熱』を実装し、2つの加熱ゾーンが同時作動することで最大加熱温度は300度に向上しました(グロー・ハイパー・エアと比較して35度アップ)。高度な加熱プロファイルにより、ひと口目から深い味わいと旨味を実現します」(BATグローバル・ヘッド・オブ・加熱式プロダクトデザイン、ジョナソン・リスター氏)
好みの加熱モードを簡単に選べる「テイスト・セレクト・ダイアル」の搭載も両デバイス共通だ。
「ダイアルを回すだけで2つの加熱モードを選択できます。従来モデルの『グロー・ハイパー・エア』と比較して、スタンダードはより長い味わい、ブーストはより強い味わいを提供。加熱モードをセットし、デバイスが振動するまで側面のボタンを押し続けると加熱が開始され、わずかな時間のうちに好みの満足感をもたらすのです」(同前)
加熱の進行状況、セッションの残り時間、充電残量など、デバイスの状態が有機ELディスプレイによりひと目でわかる「グロー・ハイパー・プロ」搭載の「イージー・ビュー・スクリーン」を、「グロー・ハイパー」ではLEDライトに切り替えて通知をシンプルにしている。
洗練されたデザイン 豊富なカラーバリエーション
「幾何学的な形状、高級腕時計のリューズからヒントを得た円形のクラウンやダイアル、丸みを帯びたコーナーなど、洗練された印象を与えます。手にすっぽり収まり、持ちやすいのもデザインが生み出す特徴です。新ハイパー・シリーズを通して提供し、一貫性のあるブランドアイデンティティを表現しています」(BATグローバル・ヘッド・オブ・加熱式プロダクトデザイン、ジョナソン・リスター氏)
どちらも豊富なカラーバリエーションを取り揃える。「グロー・ハイパー」はグラファイト・ブラック、マラカイト・ティール、ローズ・ゴールドの3色があり、「グロー・ハイパー・プロ」は今年7月に夏を彩る華やかな新カラー「パープル・サファイア」が加わり全5色を展開している。
気になるのはデバイスの価格だろう。「グロー・ハイパー」が2480円、「グロー・ハイパー・プロ」が3980円と、スタンダードモデルのほうが求めやすい価格帯になっている。とはいえ優劣があるわけではない。
「消費者の皆様の個性や好みに応じてハイパーоrハイパー・プロの中からお選びいただけます。私たちは選択肢があることが何より重要だと考えています」(同前)
なお、「グロー・ハイパー」は2480円を1480円で販売する期間限定キャンペーンを現在実施中だ(2024年10月13日まで)。
たばこスティックも進化 よりクリーンに
次に、たばこスティックの進化の詳細を見ていこう。
今年8月6日以降のグロー専用スティック「ラッキー・ストライク」全9銘柄には「スティックシール・テクノロジー」という新技術が搭載されている。
「『スティックシール・テクノロジー』は、スティックの先端をシールで密封することにより、使用後の加熱式デバイス内にたばこ葉が残ってしまうのを防ぎます。結果、デバイス内部の頻繁な掃除が必要なくなるのです。」(BATヘッド・オブ・加熱式インサイト&フォーサイト、マーク・ローム氏)
日本の消費者が衛生面を非常に重視
日本においては、『ラッキー・ストライク』たばこスティックへの同新技術の実装は、今年5月にリニューアル発売した『ネオ』に続く第二弾となっている。
これは日本のマーケティング調査が深く関わっている。他の国に比べて日本の消費者が衛生面を非常に重視していることを把握。このニーズに応えるための取り組みを積極的に行なった。
「キレイ好きな日本の皆様にとって、掃除の手間を最低限に抑えられるのは嬉しいでしょう。そしてデバイスを清潔に保ちつつ、満足感のある味わいを変わらず楽しむことができます」(BATヘッド・オブ・加熱式インサイト&フォーサイト、マーク・ローム氏)
今までの喫煙体験をデバイスとスティックで変える
BATグループは企業パーパスとして掲げる「A Better Tоmоrrоw(より良い明日)」を築くため、喫煙による健康リスクの低減を目指す「たばこハームリダクション」に取り組んでいる。
「私たちは紙巻きたばこから加熱式たばこへの移行を、その手段としています。喫煙の主な健康リスクはニコチンではなく、たばこ葉の燃焼に伴って発生する有害性物質にあることが広く認められているからです。消費者の皆様に加熱式たばこをはじめとしたスモークレス製品へ目を向けていただくために、イノベーションに挑んでいるのです」(前出・BATジャパン社長、エマ・ディーン氏)
同グループではスモークレス製品のユーザーを2030年までに5000万人にすることを目標にしている(2024年上半期時点で2640万人)。
喫煙は紙巻たばこから加熱式たばこへー今や常識に
日本では紙巻きたばこからスモークレス製品への移行がここ数年で顕著に表れている。
日本たばこ協会の調査データによると、2017年時に紙巻たばこ88%、加熱式たばこ12%だった喫煙者の割合が、2024年第一四半期時点で紙巻たばこ57%、加熱式たばこが43%の割合に。このままのスピードで移行が続けば、2025年には逆転して加熱式たばこが過半数を超えると予想される。
「『グロー』がその筆頭としてより多くの喫煙者に愛されるブランドになるべく、イノベーションとテクノロジーの進化をデバイスとスティックの両輪で進めていく『ダブルアプローチ』を軸に製品開発を推進し、今までの喫煙体験を変えていくことを目指しています。また、喫煙者の多様なニーズに沿って選択肢を拡充することで、紙巻たばこに代わるスモークレスな製品への移行をさらに加速させていきます」(前出・BATジャパン社長、エマ・ディーン氏)
今回登場した新型スタンダードモデルの『グロー・ハイパー』や、たばこスティックに新搭載の「スティックシール・テクノロジー」はそのブランド戦略の一手にあたる。スモークレスかつクリーンな加熱式「グロー」の味わいと使用感を、一度体験してみてはいかがだろうか。