imperfect 佐伯美紗子社長(1)子どもの頃、メキシコで知った社会の現実
■米国で「自分はマイノリティー」と自覚
社名のimperfect(インパーフェクト)は、「不完全」という意味だ。農産物の生産現場にある貧困や搾取などの社会課題を世界の不完全のひとつと捉え、「たとえ不完全な取り組みだとしても、自分たちで出来ることから、少しでも世界と社会をよくしていこう」という思いが込められている。これは佐伯の個人的な理念とも重なる。
小学6年生のとき、父親の都合で米国テキサス州へ。現地の小中一貫校に転入したが、英語が話せなかったため、小学2年生のクラスで英語を学ぶことになった。学校に通うのは基本的に現地の子どもばかりで、日本人は佐伯ひとりだけ。
「皆とは話す言葉からして違った。幼いながらも自分はマイノリティーなんだと自覚しました」
そうした中、社会課題を初めて意識した出来事があった。父親の勤務地であったメキシコに訪れたとき、同世代の子どもたちばかりか、よちよち歩きの幼児まで道端で物乞いをする光景を目にした。お金をあげようと提案したが、同行していた父親の同僚のメキシコ人はこう言って制した。