デロンギ・ジャパン 杉本敦男社長(1)就任時は右肩下がりの状態…社員が抱えていた問題点
当時、すでに日本の電化製品はリモコン付きのデジタル制御が一般的になっていたが、デロンギのオイルヒーターはアナログのままだった。
杉本は本社と電話会議をし、デジタル化を訴えたが、らちが明かない。すぐにイタリアに飛んだ。
「スペックの合わない商品を、『売れ』と言われても無理な話ですから」
しかし、「世界では十分売れている。デジタル化したら、イタリアニティが損なわれる」と突っぱねられた。
杉本はそれでも諦めず、開発担当者に日本に来てもらうように説得する。
担当者は来日して初めて、日本人がいかにリモコンを使う生活に慣れているかを実感したのだった。
今では、デジタル制御のオイルヒーターは世界中で使われるようになっているという。
イタリアニティとはどういうものか。ひと目で分かりやすいのが電気ケトルだ。洗練されたデザインと独特の色みによって、日本のメーカーには真似できないエレガントさを兼ね備えている。