主要100社の6割が2024年春入社の初任給を引き上げ 企業が強く意識するのは離職防止
時事通信社が主要100社に行った調査によると、6割が引き上げを予定。56社が「24年春入社から引き上げる」と回答し、2社は「25年春入社から引き上げる」、15社が「予定はない」、27社は無回答などだった。
24年春に引き上げる企業では、多くが「採用競争力の向上」(日本生命保険)を理由に挙げた。基本給を底上げするベースアップを新入社員以外で実施したことを理由とした企業もある。予定なしや無回答の企業でも、電通など7社は「23年春に引き上げ済み」と答えた。KDDIのように、引き上げに加え、スキルに応じてさらに高い初任給を払う仕組みを導入した企業もある。
24年春で何年連続の引き上げとなるかを尋ねたところ、NEC、川崎重工業、富士通、東芝の4社が「11年連続」と回答。NTT東日本は4年連続、2~3年連続は計31社あった。
リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長は「構造的な人手不足により、優秀な人材の確保のため初任給を引き上げる企業は増えてきているようだ。学生のスキルで初任給に差がつくケースも出始めている」と指摘している。
企業は、優秀な人材の囲い込みと同時に離職防止も意識している。厚生労働省の調査によると、大卒新入社員の3年以内の離職率は3割に上る。このため、若手の賃上げを手厚くする企業は増えている。