「骨太の方針」は強気だが…気になる中小企業の賃上げ・人手不足倒産
「現在、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている~」と冒頭で始まる政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)が閣議決定された。
原案では33年ぶりの高水準の賃上げを実現したことから「所得増加」「賃上げ定着」を後押し、中堅・中小企業の活性化を強調するなど強気の文言が続く。しかし、春闘の歴史的な賃上げの一方で、気になるのは政府が期待するひとつ、中小企業の今後だ。
前週、このコラムで報告したが、「2023年賃金構造基本統計調査」の企業規模別賃金では、大企業が前年比0.7%マイナスに対し中企業2.8%、小企業3.3%とそれぞれ同プラスだった。確かに中小企業の賃金は上がっているのだが、その内実は極めて厳しい。人手不足による関連倒産が増えてきているのである。
中・小企業の賃金のプラスの伸びは、従業員の確保、引き留めで給与を上げざるを得ない状況にあるためだ。
■前年同期の2.1倍と大幅に増加