性的暴行容疑で逮捕の“関西検察のエース”は森友事件全員不起訴時の検事正だった
より重要なエピソードは、北川容疑者が高知地検次席として高知県庁の不正融資事件の捜査を指揮し、当時の副知事を背任罪で起訴したことだろう。公務員を背任で立件した事例は少ない。その彼が2018年2月、大阪地検検事正として着任した。当時は大阪地検特捜部が森友事件の背任・公文書改ざん捜査の真っただ中だ。公務員の背任を立件した実績のある彼が森友捜査の最高責任者となったことで、財務官僚の背任も立件されるのではないかと、私は淡い期待を抱いた。
実際、当時の捜査は立件に前向きだと感じられたが、5月半ばから急に北川検事正の様子が不機嫌になった。やがて5月末日、全員不起訴の判断に。それまでも東京の本省サイドから大阪に捜査の早期収束を求める圧力があると聞いていたから、そんな事情があるのだろうと推測した。
■モヤモヤしたものが漂う…
今回の逮捕容疑となった性的暴行の事案は、大阪の検事正在任時のことだという。森友事件で検察審査会から「不起訴不当」の議決を受け、再捜査で再び全員不起訴とした時期に近いという見方もある。それが事案と関係あるのかどうかはわからないが……検察当局は逮捕容疑の事実をほとんど明らかにしていない。
折しも鹿児島県警で、本部長が身内の不祥事をもみ消したと内部告発した元幹部が逮捕されたばかりだ。それだけに、何だかモヤモヤしたものが漂う。