6月から始まった増税「森林環境税」を考える

公開日: 更新日:

 東京都の場合で見ると、22年度に配分された森林環境譲与税は16億6564万4000円。このうち都心23区への譲与額を見ると、千代田区2707万6000円、中央区2246万8000円、港区2912万8000円、台東区2240万6000円、大田区7825万2000円、渋谷区2608万8000円等々とある。譲与金の使い道では、台東区、渋谷区、大田区など全額が基金として積み立てられているのだ。譲与額全体で見ても、積立金は全体の38%と6億5769万2000円にも上る。森林の保護を目的に、納税者から徴収した税金貯蓄に回されているのである。

 東京都は現在、明治神宮外苑の再開発で高さ3メートル以上の樹木1904本のうち、743本を伐採する計画を進めている。新税である森林環境税の徴収が始まった一方で、明治神宮外苑の樹木を伐採する再開発。森林保護を名目とする森林環境税と、都民の森の伐採計画のどこに整合性があるのだろうか。

 経済評論家の荻原博子氏がこう述べる。

横浜市では国税の森林環境税の他に『横浜みどりアップ計画』とうたい、市民・法人税の『横浜みどり税』、や森林の保全・再生を目的に県税の『水源環境保全税』など多様な税金が3重に徴収されています。国民は今後も増税と、社会保険料等の増税にカウントされない負担が増えることは間違いないでしょう」

 家計の厳しさは今後さらに増えていきそうだ。

(ジャーナリスト・木野活明)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大阪・関西万博「前売り券」は買っちゃダメ! これから700万枚の“タダ券”が世にあふれる会員限定記事

  2. 2

    フジHD「資産価値1兆円強」の不動産群を物言う株主が狙う!下げ材料ばかりなのに株価連日高騰の“カラクリ”

  3. 3

    兵庫県知事選で公選法違反疑惑…雲隠れのPR会社女性社長は今何を?斎藤元彦氏まさかの再選から2カ月

  4. 4

    “絶対に断らない女”山田真貴子元報道官がフジテレビに天下りへ 総務官僚時代に高額接待で猛批判浴びる

  5. 5

    三井住友銀行「初任給30万円」に引き上げに氷河期世代から恨み節…《実績あげた社員に還元して》の悲痛

  1. 6

    平均寿命との差が縮小…健康寿命の延びと経済効果の気になる関係

  2. 7

    米国債投資は10年物利回り4.4%の「安全な資産」に変わりないが…ネックは“為替レート”の変動

  3. 8

    自民裏金事件が全国の県連にも拡大の予兆…旧安倍派の参院政倫審で飛び出した“新たな爆弾証言”

  4. 9

    石破首相の全国調査指示で自民党は大混乱!夏の都議選で裏金都議らの処分は「非公認」か「離党勧告」か

  5. 10

    スバル初のストロングHV「クロストレックS:HEV」が絶妙にウケているワケ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    露木茂アナウンス部長は言い放った「ブスは採りません」…美人ばかり集めたフジテレビの盛者必衰

  2. 2

    フジテレビの“天皇”日枝久氏が雲隠れ…社内紛糾、迷走で「院政崩壊」へカウントダウン

  3. 3

    フジテレビ「芸能界との蜜月」は港社長に引き継がれ…87歳日枝久氏はなぜ引退しないのか?

  4. 4

    “上納接待”疑惑でフジテレビ大激震…女子アナたちの怒りと困惑「#MeToo運動」に発展か?

  5. 5

    中居正広引退に「週刊誌のせいで」と怒る“ヅラ”たちの思考回路 GACKT&エハラマサヒロ…著名人のミスリードも

  1. 6

    中居正広まるで“とんずら”の引退表明…“ジャニーズ温室”育ちゆえ欠いている当事者意識に批判殺到

  2. 7

    ワイドショー・情報番組が圧勝で「テレビ朝日」独走か…蹴散らされる裏番組、フジテレビにはトドメにも

  3. 8

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  4. 9

    中居正広問題で大揺れフジテレビ…社員説明会で“ギャグ”?改めて露呈した港浩一社長のポンコツ

  5. 10

    フジテレビ日枝久相談役に「超老害」批判…局内部の者が見てきた数々のエピソード