気象庁が豪雨警戒情報を何度も出す理由…背景に「コーヒー1杯予算」の深刻事情

公開日: 更新日:

この国の災害対応はお粗末すぎる

 連休が明けたと思ったら、あっという間に豪雨や台風の季節となった。列島を縦に走るような前線の影響で、あちこちで線状降水帯が発生する恐れが出て、台風並みの豪雨や暴風への警戒が呼びかけられている。

 日本では今や、地震だけでなく、豪雨による氾濫、台風、そして、猛暑という災害が日常茶飯事になっている。そして、これらの災害によって毎年、おびただしい犠牲者が出ているのに、動きが怠慢なのが政府だ。ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「政府対応のまずさは人災に等しい」と言い切る。そして、過去の災害対応から「教訓を学ぶべきだ」と、シン・防災論(発行:日刊現代/発売:講談社)を上梓した。そこには驚くべき事実がいくつも書かれていて、怖くなるほどだ。

 例えば、今週も繰り返されている気象庁による豪雨への警戒情報。その気象庁がスーパーコンピューターを導入したのは昨年3月だというからびっくりする。2014年の広島豪雨、2017年の北九州豪雨、2018年の西日本豪雨、2019年の千葉・房総豪雨、2020年の九州豪雨……と毎年犠牲者が出ているのに、政府は「雨」をすぐに対応が必要な脅威のある「自然災害」と認識していなかったのか。

 ついでにいうと、2018年の西日本豪雨の際、7月5日午後2時に気象庁が豪雨被害の拡大を懸念してわざわざ会見を開いて異例の「注意喚起」を出し、同日午後8時には京都、大阪、兵庫の16万人に避難勧告が出される事態だったのに、「赤坂自民亭」と称する親睦会で酒を飲んでいたのが安倍首相(当時)以下の面々だ。それを西村康稔官房副長官(当時)はSNSでアップし、猛烈なバッシングにさらされた。以後、少しは「雨」という「自然災害」に敏感になるのかと思いきや、スーパーコンピューターの導入が広島豪雨から9年後とは呆れるばかりだ。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    悠仁さまは学習院ではなぜダメだった?大学進学で疲弊する宮内庁職員「もうやめたい」と悲鳴

  2. 2

    小室圭さん騒動時を彷彿させる宮内庁長官の“ズレ”…まずは悠仁さま世代の受験生が納得する丁寧な説明を

  3. 3

    兵庫パワハラ知事やコバホークも? 東大→官僚→政治家は“ピカピカの経歴”にあらず旧いタイプ

  4. 4

    小泉進次郎氏のトンチンカンが止まらない!「大学に行くのがすべてではない」「改憲はファストパス」まで飛び出す始末

  5. 5

    教団とズブズブ自民党・萩生田光一ついに落選危機…最強刺客“統一教会キラー”が東京24区に参戦

  1. 6

    石破茂総理誕生で「愛子天皇」前進か…国民の9割が賛成も女系天皇の皇位継承に大反対の壁

  2. 7

    悠仁さまは東大志望でも…一般受験生が選ぶなら"定評ある"トンボ研究の大学は?

  3. 8

    石川県・馳浩知事は危機感ゼロ! 能登豪雨災害でやっと珠洲市視察もKY能天気コメント

  4. 9

    高市早苗氏の猛追に旧統一教会が見え隠れ…熱心な信者がXで「サナエ一択」を大拡散

  5. 10

    “異例の成績”報道の悠仁さまに東大の「共通テスト重視」が与える影響は?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  2. 2

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ

  3. 3

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  1. 6

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  2. 7

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  3. 8

    堂本剛、松本潤、中山優馬…そして「HiHi Jets」髙橋優斗の退所でファンが迎えるジャニーズの終焉

  4. 9

    「光る君へ」一条天皇→「無能の鷹」ひ弱見え男子…塩野瑛久は柄本佑を超える“色っぽい男”になれる逸材

  5. 10

    虎の主砲・大山を巡り巨人阪神“場外乱闘”に突入か…メジャー挑戦濃厚な岡本の去就がカギを握る