過去最高の税収72兆円でも喜べない…「インフレ増税」と「円安」のWパンチが国民生活を襲う
剰余金は防衛費に回るのが実態
税収増を1人当たり4万円の定額減税で還元した気になっている岸田首相である。今さら期待できないどころか、22年度の一般会計の決算剰余金3兆3911億円のうち、法律で優先的に使うことが定められている国債償還費や地方交付税交付金に振り向けた約2兆円を除き、残る約1.4兆円を防衛力強化資金に積み立てたり、防衛関係費の一部に充てたり、防衛費増に回しているのが実態だ。
一方、足元で進行する円安は放置の体たらくである。2日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円台に下落。1986年以来、約37年半ぶりに安値を更新した。
「ドル円の購買力平価は1ドル=100円前後が望ましいとされる中、1ドル=160円は賃上げ分を吹き飛ばしています。このままでは海外からの輸入に頼るエネルギー価格などは上がっていくでしょう。円安に歯止めをかけるため利上げに踏み切ろうにも、政府・日銀は戦力の逐次投入よろしく動きが鈍い。利上げしても結局は国債の利払いが増えて歳出増になってしまい、税収分を国民に還元する余力が残るか怪しいものです」(斎藤満氏)
インフレ増税と円安のダブルパンチで国民生活は苦しくなるばかり。「増税メガネ」には一刻も早く退場してもらいたい。