経団連の会長人事(下)本命は日鉄の橋本英二会長、対抗はNTTの澤田純会長としておく
次期経団連会長は誰か。衆目の見るところ本命は日本製鉄の橋本英二会長である。対抗は、その勢いを買って、ここではNTTの澤田純会長としておく。
日鉄は米鉄鋼大手・USスチールの2兆円買収の渦中にある。USスチールの買収は、バイデン、トランプの2人の大統領(候補)に待ったをかけられているが「橋本氏にひるんだ様子はない。欧州委員会(EU)が買収を承認するなど、外堀を埋めて、手堅く一歩一歩前進している。USスチールの米国での買収反対の動きも大統領選が終わるまでと読んでいる」(日鉄幹部)。
ある経団連関係者は「電磁鋼板の特許を巡ってトヨタ自動車を訴えたのは日鉄の橋本氏。訴訟は和解で昨年秋に一段落したが、トヨタの豊田章男会長の怒りは収まっていない。もし橋本氏を経団連会長にしたら、豊田氏は経団連モビリティ委員会の委員長のポストを放り投げかねない」と心配している。しかし、これはおかしな話。経団連会長になる気のない豊田氏が、他の人選にとやかく言う資格はないはずだ。
「橋本氏の就任を豊田章男氏の意向に忖度して回避したらどうか」とする考えは、もはや古いというかバランスを欠いている。「豊田章男、なんぼのものなのや!!」という外野席からのヤジが聞こえてきた。
「鉄は国家なり」の時代、日鉄の前身の新日鉄は、5代会長の稲山嘉寛氏、6代斎藤英四郎氏、9代今井敬氏を輩出するなど、経団連会長は、いわば指定席だった。だが、それ以降、すっかりご無沙汰をしている。橋本氏が第16代会長に就けば、日鉄にとっても久々の朗報となる。しかし、そうなれば「失われた30年に逆戻りする」との冷ややかな声があるのも事実だ。
橋本本命とするなら対抗はNTTの澤田純会長としておく。NTTは5月10日、6月の株主総会の日付(6月20日)で澤田会長の代表権を外すと発表した。会長職は続ける。昨年、経団連副会長に就任。
「今後は財界活動に一層、注力する」(澤田氏の側近)